…瓦礫の中からひろい上げ 継なぎあわせる光(いのち)のかけら…

ステンドグラスの彫刻展(1996.1.23~1.31)  於:渋谷.〈アートギャラリーせ・ら~る〉


「水夢(みずゆめ)」

「トラウマ(心の傷)からもれる光」



 

「天目指(あまめざす)川の碧い淵」


 

「鳴いている鳥が飛びたつ時」



 

「夢の島に咲く花」又は「月の花」

(薄い緑のガラスは一升瓶を使っています)



「光のかけらをつないでは夢の塔を建ち上げる」

(ミケランジェロのデッサン「瀕死の奴隷」をガラスに彫っています。)



「カゲロウ」

「ピエロ」



「枯れ葉たちの祈りの日々は続いた」 (ろうそく立て)



「うさぎ やさしい手の中の青い目になって」 (ろうそく立て)




個展に寄せた一文です。

  光のかけら」                 19961

 

 長いあいだ木を彫り粘土を練って人間の顔や姿、心の形を作ってきました。いきなりステンドグラスということで、これまでの私の作品を見ていただいてきた方は驚かれるかもしれません。ステンドグラスといっても、材料の多くは廃材です。

◇ゴミを焼却してできた灰を使って作られたガラスと、一升ビンなどの空きビンをカットして継いだ「夢の島に咲く花」

磁器を焼き、空きビンのかけらを組み合わせた「トラウマ(心の傷)からもれる光」「枯れ葉たちの祈りの日々は続いた」

廃棄された建具のひと昔前の型板ガラスで作った「カゲロウ」

知人のガラス作家が失敗してしまった吹きガラスや、私目身の割れてしまった磁器の作品から形が始まり、色ガラスの端材を継いでいった「水夢」「石の花」等… 

 一点のみ、木彫の作品の舟(「時の川」)を中心に置き、光が透過して甦る廃材の、色と影が織りなす空間を作ってみたいと思っています。

 

 この十年ほど、人の心の闇を探ろうとした仕事を続ける中で、無限の闇が抱えている豊かさ、怖れから学ぶことも多かった反面、私の中のある一部がしだいに崩壊していくのを止めることができませんでした。その心が再生を求めて、割れたガラスをひろい、継ぎ、構築し、光の助けを借りて初めて輝く、そういうものを作ろうとすることによって、知らず知らずのうちにリハビリをしていたのかもしれません。それは、1995年という年の、次々と続いた事件やできごと(戦後50年、阪神・淡路大震災、オウム真理教事件等)の結果、私たちが目の当たりにしなければならなかった物や心の瓦礫の山や、五十年前の敗戦後の焼け跡のイメージと重なり、人間のおこないの失敗も、壊されていったものも、ぬけがらも、できれば目をそむけたいその事実の中に、かすかに光るものがひそんで落ちていて、それを見つけることが、次の想いや時間につながっていく手がかりになるのだと私は思いたかった。

 

 ステンドグラスを教えてくれた人がいて、その人が小さい頃、光るものが大好きでポケットにいつもいろいろな色のガラスのかけらを入れていたという話を聞きました。大人の眼からはゴミにしか見えない危ないガラス片でも、何かの想いを抱えた一人の少女にとっては大切な大切な宝物で、長い年月がたって、それが本当に彼女の生の中から輝きだしたその場所で、私たちは素直な気持ちでガラスと接し、教えてもらうことができました。そして、子供の眼が見つけだし拾いあげるもの、その時の素の心が求める美しさのことを深く考えさせられました。

 

 枯れた花や葉が落ちて、分解され発酵して土に帰っていくように、〈私〉たちが残してしまった瓦礫を、始末の悪いゴミとして処分するだけではなく、わずかではあってもそれを使うことによって、人の心に交じって肥やしになり、光の花を育てていけるようなものを作れるようになりたいと思いました。

……(略)                                

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「時の川」 

写真/岡本寛治