高橋れい子木彫展「越生の山と物語」 in山猫軒

 ギャラリー&カフェ山猫軒での個展「越生の山と物語」が8月27日に終了いたしました。今年は山猫軒30周年記念ということでしたので、越生町黒山に住んでいた1983年から14年間に製作したものと、その後ときがわに移って最近までに作った、越生をテーマにしたものを展示しました。


  山で仕事をする人たち、自然を求めてこの地で生きることを決め移住してきた人たちとの長い関わりの中から生まれてきた作品を、多くの方に見て聴いていただくことができました。

 この展示を通して、私の中に作品が生まれてくる原動力となった、その方たちとも改めてお話ができ、深く豊かな自然観を持って、自然とともに生きて来られたことがよく伝わってきました。そして、山の力に触発されて表現しているアーティストたちともお会いすることができ、個展という枠組みをこえて、豊かな時間を過ごすことができました。

 

 たくさんの方に見ていただき、心の交流ができましたたことを、心から感謝申し上げます。ありがとうございました。見に行きたかったのに、どうしても行けなくて残念だったという方がいらっしゃいましたので、出品作品紹介のために手作りの小さな冊子を作りました。このブログでもその内容をご紹介したいと思います。少し長いですが、ご覧いただけましたら幸いです。 


越生の山の中の一軒家、ギャラリー山猫軒です。


  作品  

テーマごとに作品の紹介をしています

- - 山猫軒の建物 - - 仮面 - 樹木  - 森の闇と光 - 音 -

 



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◎「花のお舟 - 梅のこども」   h.4~5cm

越生梅林の梅の木を彫った人形です。箸置きとしても使える花びらと葉が舞っています。梅の木は、赤みをおびた堅く緻密で油分の多い木です。


この小さなお花さんたちは最近作ったものですが、以前、黒山に住んでいたころは、花の精の人形をたくさん彫りました。→えごの木の人形「和の座」 

 

◎「梅ひより」

梅林の里で暮らしている方たちから、季節の移り変わりや一日の時間の移ろいとともに感じてきた梅の様子をうかがい、その気持ちに心ひかれ、「梅ひより」という歌も生まれてきました。

   〈残月の見おろす里や梅真白(井口愛子)


◎「こでまり」 昨年、越生で伐採された楠(クスノキ)の一部を分けてもらい、彫りました。h.8cm

◎「きつね桜の咲く丘」 和紙   h.15cm

◎「地の器」 陶器




 

- 山猫軒の建物-

 平成元年に完成した、この山猫軒」の建物。自給自足をめざしていた南達さんが企画し、プロの手を借りながら自らが木の伐採をはじめ 、刻みも含めた全ての工程に参加し、様々な作家とのコラボレーションで生み出された建物です。夫(高橋俊和)が三宅島での大工の修行を終えて帰って初めての仕事が、この自力建設への協働で、私も柱梁の塗装などのお手伝いをしました。

 

◎「家と田んぼの手」  ◎「昆虫と少年」

この作品は、南さんが山猫軒の建物を建てていた当時に製作した小品です。作業中に出た、伝統構法の仕口、金輪継ぎ(かなわつぎ)を刻んで出た落とし材を彫り、南さんの田んぼの土とワラで着色した南達夫氏像です。

「昆虫と少年」は、小さいころ昆虫が大好きだったという達雄少年像です。

◎「丸い棟飾り」

屋根の上の丸い棟飾りは、皆さんのアイデアを取り入れながら私が製作しました。

 




 

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黒山の奥、山に囲まれた空に映える月の光は、様々なことを想像させ、物語の世界に入っていくような不思議な力をもっていました。

◎「月の兎の鏡」 h30cm

◎「火の鳥の鏡」 チーク

◎「光の輪」


◎「いのちの水」  マホガニー



 

- 仮面 -   

◎「風の声」 ◎「地の声」 ◎「山の声」 ◎「ナンの面の椅子」 



 

- 樹木 -

◎上谷「大クスの国」 木彫/榎 巾2m×70cm

現在の大クス
現在の大クス

 

「板根 - 神話的時間」 陶器  巾2m


 

「いのちの形」 蔦(つた)  高さ3.5m





 

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◎「水の精」石膏  

◎「水の精」テラコッタ  

◎「水の国」ステンドグラス

◎「花びらの器」  陶器

◎「水が生まれる場所」  陶器

◎「花静か」 越辺川の源泉、黒山の湧き水に咲く花、流れ初める水…




 

- 森の闇と光 -

 ◎「月の鏡」      ◎「深い森」


◎光を生む場所 「星玉(ほしだま) 天然石

「光(いのち)のかけら」


 越生町黒山の奥の、ここから先は山ばかりという、人家としては最後の家に14年間住んでいました。その生活を通して感じたことは、街中からは失われてしまった闇の豊かさと、その中に見えてくる「水が生まれる場所」「光を生む場所」でした。

   その後、十年ほど前に父が亡くなった時から、丸い透明な光の玉をつないでいく作業が心の安らぎになりました。


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- 音 -

手回しオルゴールを回して、曲を聴いていただけるようにしました。 

 越生に住む一人の女性の自然への願いが輪を生み、伐採されることになっていた龍ケ谷の山桜の大樹を守り、20数年の時の流れと縁の網によって、音の広がりとなっていった物語です。 

 ’91年頃、龍ケ谷の山奥に、伐採されることが決まっていた一本の山桜の大樹がありました。当時、この樹をなんとか残したいと願い、働きかけをしていた友人の長谷部操さんに連れられて、山桜を見に行ったことから、この物語は始まりました。   

当時の写真

 

 

 


 越生の自然を守ろうとした人たち、それを理解して苦渋の決断をしてくれた木材会社の社長さんのおかげで山桜の樹は伐られずに守られました。

 そして「越生の野の花」  (’91年、文/長谷部操 写真/佐藤博美、俵木栄一) が埼玉新聞に連載され(詳しくは歌とオルゴールの部屋をご覧ください)、写真展も開かれ、その活動は印象深く私の心に残りました。

詳しくはこちらをご覧ください→ 「山桜」 「からすうり、すずめうりの実」

 

  

 それから数年の時がたち、阪神・淡路大震災、オウム真理教サリン事件等のつらいできごとが続いた年の翌年1996年、その年は私にとって縁の深い多くの方がお亡くなりになった年でした。越生町から都幾川村に引っ越してすぐに私は病を得、その苦しみの中で神秘的な体験をし、音楽の素養がないにもかかわらずメロディーと歌詞が連日浮かんだり聞こえたりしてくるということがおこりました。そんな音の流れの日々が続き、10月22日に「山桜」「すずめうりの実」「からすうり」三つの曲が生まれてきました。

 曲が生まれると同時に、宝物のように思い出されたのは、長谷部さんをはじめとする越生の三人の人たちの自然に対する深い想い、山桜の樹のくぼみに抱かれ温められたこと、色とりどりの木の実を盛ったかわいい篭たち、「越生の野の花」の写真展のことなどでした。

 

 これらの曲は誰に聞いてもらうこともなく幾年かがすぎましたが、ときがわの辻田雅美さんが編曲してくださり、私には思いもつかないような美しい前奏後奏をつけて下さいました(下の画像は辻田さん手書きの楽譜です)。そして、手回しオルゴールと出会って、曲を他の人にも聞いてもらえるようになり、長い時間の中で少しずつ、縁の網を通して水がしみ入るように伝わっていきました。その歌に命を吹き込んでくれたのは菅井千春さんです。   YouTube「山桜」(歌:菅井千春)  菅井千春と「歌の花咲き山」HP


 ◎「越生を歌う-越辺川をゆく歌の旅」発表会&コンサート in山猫軒 2017.8/25(金)

 

  前半は、越生町在住の菅井千春さんに、歌を習っているグループ「ヴォイストレーニング線香花火」の発表会です(私も昨年からその一員になりました)20年前に私のもとに、山の風が連れてきてくれた歌の子どもたちを、大事に育んでくれたお母さんのような方たちです。

 後半は、松本孝夫さんの手回しオルゴール演奏と、菅井千春コンサート。

ヴォイストレーニング線香花火
ヴォイストレーニング線香花火