粘菌的地球家族 ― ときのこや

   私が住んできたときがわ町、越生町周辺の人や場所の魅力をお伝えするブログを書きたいと思いながら、たくさんあって何からどう書こうかと迷っている間に、あっというまに半年以上が過ぎてしまいました。そろそろ迷うのは卒業して、身近な小さなできごとから書き始めたいと思います。

 もうじき賞味期限切れのビーフンがあったので、今日こそはと、お昼に汁ビーフンを作ろうと思い立ちました。 にんにくと生姜とネギと野菜をいため、ストーブの上にかかっていたヤカンから勢いよくお湯を入れました。なんだか薄茶色いなと思ったとたん、思い出しました。

 そういえば、ヤカンの中でクロモジ茶を煮出しているのをすっかり忘れていたのでした。10分前に自分でやったことも忘れて投入してしまうなんて、なんという大失敗。まあいいやと、マルシマのかつおこんぶ入りだしの素を入れて和風汁ビーフンに…。おそるおそる味見をしてみました。そうしたら不思議! すてきにエスニックなハーブの香りがして、おいしいではありませんか、おなかにも良さそうな。

 このクロモジ茶は、若い有機農家さんたちがときがわ町三波渓谷の駐車場で開いているときのこや(無農薬、無化学肥料の野菜販売)」で買ったものでした。ときのこやは毎週日曜日に、丹精込めて育てた野菜や米、初めて見るようなめずらしい野菜、誠実に作られたおいしい加工品などを販売しています。

 そういえばお茶のパッケージには「山の神様がくれたきこりのハーブ、自然の癒しをあなたに」の文字がありました。今日おこった間違いは神様の贈り物だったんだと、ありがたくいただいた昼食でした。(その後、濃さを調整しながら、野菜たっぷりの洋風スープなどにも入れてみたら、薬膳料理のような深みのあるおいしさになりました。)

 

 三波渓谷は通り道なので、先日7日に通りかかった時も「ときのこや大もちつき大会」の最中でした。おそい時間だったので、おもちは食べられませんでしたが、この少子高齢化の時代の中にあって、地元周辺のこんなにもたくさんの若い子連れの家族が集まってもちつき祭りをするエネルギーがとてもたのもしく感じられました。そして食、農業を基軸とした暮らしと仕事を大切にしてきた多くの人のつながりを想い浮かべた時、縁あってここに集まってきた人たち全体が、ひとつの「粘菌的地球家族」のようだと思いました。